プラスチックの超音波溶着

重要ポイント

  • 界面での粘弾性発熱 — 20〜40 kHzの振動が、エネルギーダイレクターまたはシアジョイントを1秒未満で溶融します。
  • 非晶性樹脂は容易に溶着できます。結晶性樹脂にはシアジョイント、近接場の形状、より厳密な管理が必要です。
  • 規定の範囲を設けた潰れ量モードが、工程の運用とバリデーションを確実に行う方法です。
  • 最も高速で低コストな溶着方法ですが、微粒子、ホーン痕、振動に弱い内蔵部品という制約があります。

プラスチックの超音波溶着

超音波溶着は熱可塑性樹脂の接合プロセスです。20〜40 kHz、ピーク間振幅20〜120 µmの機械的振動を、一方の部品を通して接合界面に伝え、粘弾性発熱と摩擦熱でポリマーの薄い層を溶融し、加圧下で固化させて溶着部を形成します。溶剤、接着剤、消耗品は不要です。

スタックは、20 kHzで約20 µmを出す圧電コンバーター、1:1.5や1:2.5などのゲインを持つブースター、同じ周波数に調整され、空圧またはサーボの力で部品に押し当てられるホーンで構成されます。20 kHzは大型部品と高出力に適し、30〜40 kHzは振幅、応力、痕が小さいため、小型・繊細・外観重視の部品に適します。

ポリマーは粘弾性体です。繰り返しひずみはヒステリシスによって一部が熱に変換され、最も断面の小さい部分、すなわちエネルギーダイレクターの先端やシアジョイントの干渉部に集中し、数ミリ秒で溶融が始まります。ホーン面から約6 mm以内の接合部は近接場、それより遠い場合は遠隔場です。非晶性樹脂は損失が少なく振動を伝えるため遠隔場でも溶着でき、結晶性樹脂とエラストマーは振動を減衰させるため、確実に溶着できるのは近接場のみです。

材料の適合性

プロセスパラメータと接合部設計

設定値よりも、接合部の設計のほうが結果を左右します。エネルギーダイレクターは一方の合わせ面に設ける三角形のリブで、挟み角は60〜90°、高さ0.2〜0.6 mm、底辺は高さの約2倍です。結晶性樹脂には60°で高さのあるものを使い、段差または凹凸(インロー)形状で部品を位置決めします。シアジョイントは、リップと壁の間に0.2〜0.4 mmの径方向干渉、30〜45°の導入角、壁厚の約1.25倍の溶着深さ、フープ応力に耐える受け治具を用います。結晶性樹脂では、シアジョイントが最も強く、最も気密性の高い溶着部を実現します。

超音波溶着のトラブルシューティング

超音波溶着と、レーザー溶着・振動溶着・熱板溶着の比較

超音波溶着はサイクルタイムとツールコストで他に負けることはほとんどありませんが、大型の部品、外観が重要な部品、電子部品を内蔵する部品、微粒子を嫌う部品には適さないことが少なくありません。通常の代替手段は透過型レーザー溶着です。これには組み合わせた樹脂ペアが必要で(レーザー透過溶着の解説と樹脂ペアと着色剤の選定を参照)、接合面は約0.1 mm以内の精度が求められますが、超音波溶着は嵌合精度が劣っていても、どんな色でも対応できます。Sabreenはレーザー溶着プロセスのエンジニアリングを行っており、装置の販売は行っていません。いずれかを推奨する前に、この比較を適用します。

超音波溶着の仕様化とバリデーション

図面に「超音波溶着」とだけ書いても、何も指定したことにはなりません。性能要求、工程内の管理範囲、その範囲で性能が得られることの証拠を明記してください。

  • 強度。 アセンブリでの引張強度、または材料ペアのスクリーニングにはAWS G1.2M/G1.2 I形ビーム試験片を用います。非晶性の近接場溶着では母材強度の70〜100%に達します。最小値と破壊モードを明記してください。
  • 破裂と漏れ。 最小破裂圧力と、圧力減衰法またはヘリウムリークの数値限界を定めます。「漏れなし」では不十分です。強度のある溶着部でも、2 mmの溶け残りがあれば漏れます。
  • 潰れ量の範囲。 たとえば0.35 ± 0.05 mmとし、エネルギーとピークパワーを副次的な限界として毎サイクル記録します。範囲外の部品は不良とします。
  • IQ/OQ/PQ。 ISO 13485およびFDAの品質システム規制に基づきます。IQでは溶着機、スタック、治具、測定した振幅を確認し、OQでは振幅・力・潰れ量にわたる実験計画法で適正範囲を把握し、PQでは量産オペレーターと量産樹脂で公称条件の3ロットを実施します。ホーン、ブースター、樹脂のいずれかを変更した場合は再適格性確認を行ってください。接合部設計についてはDVS 2216が参考になります。

関連用語・関連資料

現場での活用

The Sabreen Groupは、超音波溶着およびレーザー溶着のプロセス開発、接合部設計、溶着部のバリデーションについて、独立した立場でエンジニアリング支援を提供しています。プロセスの仕様策定、材料の適格性確認、生産上の問題のトラブルシューティングをお考えの場合は、当社のエンジニアリングサービスチームがお手伝いします。お問い合わせのうえ、お客様の用途についてご相談ください。

よくあるご質問

20 kHzと40 kHzのどちらで溶着すべきですか?

約50 mmを超える部品、厚肉、結晶性樹脂、より大きな振幅と出力を要する遠隔場の接合には20 kHzを使用します。小型・薄肉・外観重視の部品、および電子部品を内蔵するものには30〜40 kHzを使用します。振幅と伝わる応力は半分になり、痕も減り、ホーンの長さも半分になります。

ポリプロピレンなどの結晶性プラスチックも超音波溶着できますか?

はい、ただし許容範囲は狭くなります。振動を減衰させるため、接合部は60〜120 µmの振幅でホーンから約6 mm以内に配置する必要があり、ABSで使う90°のダイレクターではなく、シアジョイントまたは鋭い60°のダイレクターにします。融点が明確なため、保持力がより重要になります。

引張試験に合格しても漏れるのはなぜですか?

強度と連続性は別だからです。引張試験は溶着部全体の平均を見るため、接合部の90%が健全であれば合格しますが、反った部品やホーンの水平不良による2 mmの溶け残りが1か所あれば漏れます。漏れは数値で規定し、潰れ量モードで溶着不足の部品を不良とし、漏れが集中する場合はホーンの平行度を確認してください。

レーザー溶着のほうが適しているのはどのような場合ですか?

部品の外観が重要な場合、電子部品を内蔵する場合、微粒子のない流体経路が必要な場合、シームが長いまたは三次元の場合、ホーンが届かない場合です。レーザー溶着には振動、ホーン痕、微粒子がありませんが、設備投資が大きく、組み合わせた樹脂ペアと約0.1 mm以内の接合面が必要です。サイクルタイムとコストでは、超音波溶着が依然として優位です。


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